Romantic Irony

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学術論文のすゝめ

イントロ

今回は呉高専エンジニア勉強会 Advent Calendar 2017 - Qiitaの10日目の記事です。信州大学B3のNonKuRuです。このアドベントカレンダーのタイトルも「エンジニア勉強会」ということなので、エンジニアの勉強について最近思っていることを書いていこうと思う。

そもそも

なぜこの記事を書こうと思ったかというと、普段周りにいる人との思考の指向のズレというか興味をそそられる領域が違って話が合わないことが多く悶々としているからである。

例えば、講義の時に一番後ろの席に座って講義室全体を眺めるとみんなが何をしているかだいたいわかるが、その内容はたいてい「アニメを観る、漫画を読む、ゲームの実況的な映像を観る、ファッションサイトを物色、SNSスマホゲー、隣同士で会話、課題」あたりが相場である(トレンドを把握するにはちょうどいい)。また、将来どうするのかと聞いてみても「まだ特に考えてない、どうやって就活するのかわからない、やりたいことは特にない、研究は大変そうだから就職、仕事はなんかいやだから進学、安定してそうだから公務員・電力系」と言われることが多い。
・・・。
・・・。
そして俺はこんな顔になる。 f:id:n0x2ca:20171208005041j:plain

決してアニメ、ゲーム、漫画その他諸々がダメだと言っているわけではないし、その人の趣味嗜好に口を出すつもりもないけど、あまり考えずに時間とコンテンツを消費しているだけなのでは?!と思うことが多い(高い学費払って、人によっては奨学金という名の借金をしているのに「場所」を確保してるだけでは?)。

せっかく、大学のしかも工学部を選択してきた自分としては将来について真剣に楽しく語れる仲間が欲しいし、世界をよりよくしていくために何をするべきで自分達に何ができるか一緒に考えて行動していける仲間が欲しい。ということを大学に来て常々感じている。そういう意味で高専の後輩には進学にしろ、就職にしろそこにいる「人」の特質・雰囲気感を見て感じておくことは大切だと伝えたい。

とまあ、前置きが長くなってしまったが、世界をよりよくしていくためにという点で自分たちのようなエンジニアリングに関わりの深い学生に何ができるかを考えた結果、何をするにもまずは情報の量や質が大切だ。例えば「エンジニアになって世界を変えたい」と思ったとしても経験上おそらく何も浮かばない。アイデアや独自性・新規性などは決して、ゼロから考え続ければいづれ出てくるようなものではない。個人的にはサーベイによる圧倒的な情報量がカギになると思っている(つまり、考える→サーベイではなくサーベイ→考えるが正しい順番)。セレンディピティ(偶然の出会いによるひらめき)もあるかもしれないが、それも行動した結果の幸運であってそれを期待して待ち続けることは、できない理由を聞かされるのと同じくらい無駄な時間であると思う。またアイデアが良ければいいというものでもなく、「時代性」も重要な要素だと思う。そういう意味でゲームの開発で有名なSEGAはよく引き合いに出される。(参考【大体いつも10年くらい早い】時代を先取りしすぎなセガの名(迷)ハード10選! | 超ゲームウォーカー!

これまで人類が行ってきたことを俯瞰し、現代の人がどのように世の中を見ているか(トレンド)を把握したうえで、今の時代だからできることをやり「代替不可能な価値」を作りだしていくことがエンジニアとしての本望ではないかなと個人的には思う。

論文を読むということ

IT系のエンジニア・学生は技術ブログや技術書、GitHub、StackOverflowあたりを参考にすることが多いと思うがそれに加えて学術論文をすすめたい!

強いエンジニアの特徴としてすでに多くの人がブログで公開しているような技術の勉強(流行りの後追い)ではなく、多くのエンジニアがブログに書くよりも前にその技術に触れている(逆張りしている)ように思う。そのためには各分野のトップエンジニアがあつまるコミュニティに参加する方法と共に論文を読む方法もある。論文を読むとたくさんいいことがある!

  • 人類の叡智の蓄積である
    論文を読むことでその分野で何がすでに解明されているのか、何が未だに解明されていないのか理解する助けになる

  • 信頼性が高い
    多くの論文は厳格な査読がなされているため、ブログなどのような二次情報もしくは三次情報にはない信頼感がある。(ただし、各著者はたまた自分自身にはそれぞれバイアスがあるということもメタ認知しておく必要はある)

  • 時代の流れを読みやすくなる
    世の中をメタレイヤから俯瞰できるようになる。研究は具体を抽象化して再現可能にするもしくは勉強可能にするものなので。

  • 知的好奇心を満たせる
    情報分野だけでも十分面白いと思うが、専攻とは全く関係なさそうな分野のものを読むのも面白い。ちなみに最近読んだのは「日本美の伝統」というタイトルの論文

  • 多角的な評価・検証・思考のクセがつく
    研究は仮説・検証・評価・考察の繰り返し(いわゆるPDCA)であって、なんとそのプロセスが全て書かれている!他人の思考を覗いている感じ!!

  • イノベーションのヒントが掴みやすい
    リサーチはイノベーションの原石の宝庫なので、エンジニアとしてはリサーチをリサーチで終わらせずにどのように社会実装していけばちょうどいい落とし所が見つかるか考えていくと良いのではないかと思う

論文は難しそうで敷居が高いとか、実用的じゃないという意見もあると思うが実はそうでもない!そもそも勉強熱心で知的好奇心旺盛な人が多いエンジニアにとっては刺激的でなかなかクセになる面白さがある思う。

そして論文とは言ってもその形態にはいくつか種類がある。

  • 原著論文(full paper, research article)
    一般的に論文といえばこの原著論文をさす。投稿され査読を経て学術誌(journal)に載るパターンが多く、学会の会員になると閲覧できたり、購読できたりする。

  • 総説論文(review)
    いわゆるレビュー論文はその分野の先行研究の概要やデータの要約、研究動向、展望が書かれている。また原著論文と比べてその分野のバックグラウンド的な情報も多く含まれているため興味のある分野のスタートとして読むとよい。

  • 速報(letter)
    原著論文は長ければ1年以上の査読期間がある。そのため速報性を重視する場合は査読期間の短いレターとして公開される。

  • 会議録(proceedings)
    学会で発表することが認められた論文が冊子としてまとめられている。

  • 学位論文(thesis)
    卒論や修論修士論文)、博論(博士論文)と呼ばれるものである。

論文の検索サービス

論文を探す上で自分が使っている・もっと活用していきたいサイトをいくつか紹介する。

情報学広場:情報処理学会電子図書館
情報処理学会が提供する電子図書館である。会員登録は無料で学生会員もある。個人的には2015年から学生会員になっている。

https://scholar.google.co.jp/
Googleが提供する論文検索サービス。検索でサジェストされたものが確実に読めるとは限らない。

CiNii Articles - 日本の論文をさがす - 国立情報学研究所
国立情報学研究所が提供するデータベース・サービス。

arXiv.org e-Print archive
コーネル大学図書館が管理している論文投稿サイト。誰でも閲覧可能であるが査読はされていないので信頼性は少し低い。その代わり、ジャーナルに投稿すると同時にarXivに投稿し研究者どうしで直接素早く情報交換をするプラットフォームとなっている。

IEEE Xplore Digital Library
弊学では最近、収録されているフルテキストを無料で閲覧可能となっている。

Journal home : Nature
有名なNatureという雑誌のサイト。興味深いタイトルの論文も多くあるが、有料なため少し手が出しづらい。ただ1ペーパーごとでの購入・レンタル可能なので厳選して課金というのが良いかもしれない。

アウトロ

長くなってしまったので論文の効率的な読み方は高速で論文がバリバリ読める落合先生のフォーマットがいい感じだったのでメモ - 書架とラフレンツェを参考にしてください。

今回の記事で論文を読んでみようと思った人がいれば嬉しいし、〇〇ゼミみたいな形でそれぞれが興味を持った論文の情報を勝手気ままに共有できるSlackグループ作りたいので連絡ください。

就活をしているなかで、とある企業の採用担当の方にファーストキャリアで迷っているという相談をすると「就活も仕事も人生も仮説検証の繰り返しなので、現時点での仮説を立てて行動してみて違ったらやめればいい」という話が印象に残っている。人間はコンピュータのように画一的で汎用なものではなく、多様でどこかしら特化した生き物なので完璧にフィットするロールモデルというのはありえないので身の回りのものごとを少しずつ自分仕様にチューニングしながら生きていくことが大切だと思った。

そして、多くの人がやっていることをやってても価値はないので、なるべく良質な情報を仕入れ人生逆張りで生きていこう!